15年前に亡くなった父の、いくつかの腕時計を
母が保管していた。
久しぶりにそれを開けたらしくて、
私の18歳の息子(母からすれば孫)に、
「おじいちゃんの古い時計だけど、いる?」と聞いてくれた。
息子は、その中のひとつを選び、自分の腕の太さにに合わない
バンドだけを新しくしてつけている。
骨董品的ローレックス、なんて品物ではありません。
父が手に入れたのが15年前か25年前かわからないけれど、
電池を入れる式の、当時でも大衆的なRICOHの腕時計。
それでも、息子が時計屋さんで聞いた話によると
「こういうしっかりした時計は最近ないですよ」とのこと。
いまはなんでも便利になったけれど、全体的に
薄っぺらく(物理的にも心情的にも)なってしまった世の中。
物の耐久性が落ち、壊れたら新しいものを買う方が得な時代。
「安いけど、良い物」を目指し、
それは確かに、スゴイ企業努力とクオリティだけれど、
“厚み”のあることを手放しちゃいけない。
父の時計は、大人になってきた孫への
お盆のプレゼントだと思う。