さすがにコピーライターやデザイナー、カメラマンが
“かっこいい商売” と持ち上げられる時代は過ぎましたが、
広告業界、それも特に制作プロダクションの実態は
“肩を壊すまで投げる”高校野球みたいなものです。

20年くらい前は、無名の私でも
飲み屋で「川島さんてコピーライターなんだ!
エッセイも書くんですか?」なんて言われた時がありましたが、
その表面的なイメージとは裏腹に、
広告制作会社(プロダクション)の仕事は
キツク、カッコワルイものです。

●広告を作っているのに、まともな時間にテレビを見られない
ほどの残業が続く。出社は昼近くにずれがち。
●映画やコンサート、異業種の友達に会う時間もとれない。
●“自由な職場”のはずが、本屋や美術展ひとつ行くにも
「どこへ行く」と言われる。
●広告では「家族の幸せ」を表現しながら、
マイホームパパの呼称は「働かない男」の皮肉で使う。
●グッドデザインを生み出す職場のはずが、
整理整頓に無頓着なゴミ箱のような部屋で過ごす。
●「禁煙・嫌煙権」って何ですか?という室内環境。
●金曜日の夜9時くらいに広告代理店から電話があって
「だいたい企画がまとまりましたので、今から来てくれますか」
と言われる下請け状態。

広告は好きだけれど、“広告(制作)業界的な慣習”が
仕事を始めたころから嫌いでした。

私の経営的な理想には、“アンチプロダクション”から
発生した「思い」が多々あります。
かと言って、自分の会社を立ち上げてから10周年ですが、
スタッフのみんなに“理想の働き方”を
してもらえているかと言うと、ぜんぜん及びませんが…。

きょうのタイトルを見て、
「一致団結して戦う、美談の高校野球」を想像した人は
ごめんなさい。
むしろ、 「何ら変わらない、いやな高校野球」に重ねて、
広告(制作)業界のことを書かせていただきました。

こんな生意気言ってるから、よほど合う人(=会社)としか
仕事が続きませんよね。
声をかけてくださる皆様に、そして
代表(私)がなんだかいろいろ考えているらしいけれども
追いついていない会社にいるみんなに、心から感謝です。

※でも、夏の甲子園、早実優勝 おめでとうございます。
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【英文アトランダム】 Pleasing everybody is pleasing
nobody.

だれにも喜ばれようとすれば、誰にも喜ばれないことになる。